平成26年3月に改定されたました国土交通省「美しい山河を守る災害復旧基本方針」において、コンクリート護岸が露出する場合は、護岸の素材(コンクリートブロック)に適度なテクスチャー(素材の持つ質感、肌理)を持たせると明記されました。
この度、弊社では上記の方針に則りドリームブロックの化粧面をリニューアルし、明度証明書とテクスチャー証明書を取得しました。
ドリームブロックとは?
施工力 | 単一製品の為ブロックが350kgと軽量であり、積み上げが容易 |
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経済力 | ○あらゆる控厚に同一製品で対応可能な為、無駄の無い設計が可能 ○製品単価が安価 ○製品が直方体であるため、自立でき、仮置き場所を省スペース化できる |
多用途力 | 中詰材にコンクリートの他、栗石、土などを選べ、植栽・魚巣・防災・花壇などの応用ができ、 環境性にも優れている |
意匠力 | ○新化粧模様 ブロック表面は自然環境に溶け込み易い自然石模様であり、国立研究開発法人土木研究所自然共生研究センターの指針に準拠した模様です。 明度は基準値【6以下で合格】に対し実測【6】です。 テクスチャー(輝度)は基準値【11以上で合格】に対し実測【13】です。 (公社)全国土木コンクリートブロック協会発行の明度・テクスチャー証明取得済みです。 ○旧化粧模様(※こちらも対応可能です) |
技術力 | ○構築擁壁の前面は3分から6分(0.3~0.6)まで対応 (護岸工の場合はこれに限らず) ○しっかりとした設計手法 (「道路土工用擁壁工指針」及び「大型ブロック積擁壁設計・施工マニュアル」を参考) ○5mを超えても積める |
環境型断面例
ドリームブロック 施工フロー
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- 擁壁背面の掘削
- 基礎掘削(床堀り)
- 基礎砕石
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- 基礎コンクリート
- ドリームブロックの据付
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- 鉄筋挿入及び保護グラフト
- 胴込材の打設
- 裏込材の打設
- 中詰材の設置又は打設
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- 裏込砕石又は透水マットの設置
- 埋戻し
- 天端仕上げ
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- 完了検査
- 引き渡し
水難対策に一考
━H20年神戸市灘区の都賀川(県土木管理)が急増水し5人死亡━
日本の地形は豪雨になると増水しやすい環境にあります。昨今の異常気象による集中豪雨、ゲリラ豪雨で神戸の災害以降も頻繁に第二、第三の災害が起きています。
━人命救助ブロック━
弊社の大型ブロック「ドリームブロック」は開発当初からブロック自体に梯子状に握りやすい穴を設けております。また、流速を阻害することもなく、防災機能を備えたブロックです。最近人気が急上昇中で全国各地で検討を頂いております。
- 概要
- 壁高5~8mが多い
大型ブロックとして国交省のNETISに登録されています(No.SK-050005-V)
一段25cmピッチで握りやすい
穴の位置は任意(壁面全面または一部)
- 用途
- 急な増水時の避難用に
河川に落水(特に夜間)した時、擁壁(ドリームブロック)に手を掛ける
落水者を救助する時(突然に梯子やロープは用意できない)
魚巣ブロックにも併せて利用
《人命救助・防災(スケットタイプ)採用状況》
ドリームブロック「スケットタイプ」は穴付なので緊急時に登ることで防災機能を発揮します。しかし一方では子供達が降りるので危ないと言われる方がいらっしゃるのも事実です。危ないという基準は難しい物で、子供達の中には1~2mの崖から飛び降りる子供もいます。これを危ないと言っていると至る所に危険があります。本防災ブロックを採用された場合には、立て看板を立てて「緊急防災用の穴です。非常時以外は登らないで下さい」と注意を喚起することや防護柵を設置することで対応されてはいかがでしょうか。
いずれにしても急な増水に対して非難用に、また不幸に河川に落水(特に夜間など)した時も擁壁(ドリームブロッック)に手を掛けることが出来る場所があれば手掛かりとなって助かることもあり、更に落水者を救助する時も梯子やロープを用意するまでもなく、すぐに救助に向かうことが出来るのではと考えています。ドリームブロック「スケットタイプ」を適材適所でご検討頂ければ幸いです。
ドリームブロック施工写真集
設計ご担当者様へ
大型ブロック積擁壁採用基準について
3A協会 (株)丸万コンクリート
最近、多くの現場で大型ブロック積擁壁が採用されるようになってきており、災害復旧においても多くなってきております。しかし、その採用にあたっては、道路土工・擁壁工指針を基準に照らして間知ブロック積か、大型ブロック積かで採用の可否がしばしば論議されております。解説文もありますが、かなか判断の難しい所です。ここで大型ブロックの採用にあたって明確にしておきたいと思います。
明確にするにあたって諸基準、マニュアルなどを参考にしております。まず、土木の基準書でもある道路土工・擁壁工指針/土木構造物標準設計第2巻(擁壁工類)/災害復旧(手帳)などによると、間知ブロック積は、
- 背面の地山が締まっている場合や背面土が良好であるなど、土圧が小さい場合に用いる。
- 応力計算に基づく設計手法ではなく、経験に基づく設計手法である。
- 雨や洪水、地震などで被災した現場状況を考えると、一般的には直高5mを超える擁壁の土圧が小さいとは考えにくい。慎重に考える必要がある。(引用文)
とあります。
これらを勘案して、擁壁構造物の選定基準を考えてみたいと思います。
従来から使われている間知ブロックは、根強いニーズがあります。この第一は、安価であり、容易に手に入ることです。公共工事においての歴史と実績は申し分ありません。しかし、近年間知ブロックの採用を慎重にするようにと言った声が多くなってきております。
道路下では地震時などにおいて、特に疑問視されています。
安定計算をすれば、条件や計算手法にもよりますが、被災地などで間知ブロックが倒壊している状況を見ても分かるとおり、滑動や支持力に不安があるためと言われております。価格だけで使っていいのでしょうか。勿論、職人さん不足も否めません。
このような時代背景の中で大型ブロックは採用を広げてきております。しっかりとした安定計算(滑動、転倒、支持力)、応力計算を行っての参入であります。また、最近はメーカーによっては合理的な製造、施工などの開発により、経済的に大型ブロックも採用し易くなってきております。正に間知ブロックにとって代ろうとしております。今までの「大型ブロックは高い」のイメージが変わりつつあります。災害においても、間知ブロックが崩壊した現場では、より安全な大型ブロックへの変更も増えております。
最近の災害をみても、異常気象が異常でないくらいに頻繁になってきております。設計手法が厳しく問われる中、一般的には切土で自立する場合か、相当良質土で締め固められている場合に「背面は良好」とされています。これを拡大解釈することは危険です。また、「背面が良好」の判断は専門家でも難しく、その責任所在が問われることがあります。このような中、最近ではコンピューターの発達と共に容易に安定計算ができることもあって土圧計算を行って断面決定をしているケースが一般的であります。
「擁壁は恐い。安全第一を念頭において設計すべき」の認識が一層高くなってきております。異常気象や地震などを考慮し、用途と重要度、併せて経済性と安全性を加味して、最適な設計で明日の国土建設に取り組んで欲しいと願っております。